公開日:2022/09/30

8万人超が来場!どさんこしまんちゅフェス@大阪
~日本の「端っこ」があべのハルカス近鉄本店で初コラボ~

【1】会場レポート

北海道と沖縄の企業が力を合わせ、日本の「端っこ」から地方創生を目指す「どさんこしまんちゅプロジェクト」は9月14~20日、両地域の食と観光、文化を一堂に集めたイベント「どさんこしまんちゅフェスティバル」を大阪市内で初めて開きました。会場のあべのハルカス近鉄本店には人気の飲食店やスイーツ店など54店(北海道26、沖縄28)が出店し、関西圏などから8万人超が来場。両地域のコラボグルメやお酒の飲み比べに長蛇の列ができ、旅の魅力にふれるPRステージも熱気に包まれました。道産子ライターがフェスティバルを食べ歩きし、2018年9月の活動開始から4年を迎えたプロジェクトの「価値」に迫りました。

日本一の超高層ビル 北海道と沖縄の54店集結

 気温34℃。9月も半ばというのに大阪・天王寺はむせ返るほどの暑さだった。秋になり涼しさを深める北海道との気温差に、体がびっくりしている。高さ300メートルもある超高層ビル「あべのハルカス」を地上から見上げる。日本一背の高いこのビルで、北海道と沖縄、日本の「端っこ」にある食・旅・文化が初めて交じり合う。異色のコラボを大阪の方々は楽しんでくれるのだろうか。ワクワクとドキドキで胸が高鳴る。

 あべのハルカス近鉄本店。お昼時の会場はごった返していた。「ジュワーッ」。たまらない肉の香りが漂う。沖縄県民のソウルフード、ステーキの人気店HAN’Sだ。15席ほどのカウンターは満席だった。刺激される食欲をこらえて、通路を突き進む。

 

札幌の人気担担麺「175°」 沖縄食材とコラボ

 お目当ては、札幌の人気ラーメン店「175°deno担担麺」だ。イベント限定で提供される北海道と沖縄のコラボメニュー「島唐辛子辣油の白ごま汁なし担担麺」を食べると決めていた。辛さとしびれの香辛料増量オプションは「カラサマシマシ」「シビレマシ」を選択。もう後には引けない。

 ドキドキしながら口に含む。花椒の香りがすーっと鼻に抜ける。道産小麦の麺はもっちりとして、沖縄産島唐辛子辣油がよく絡む。こりゃうまい。けど、辛い、しびれる、汗が噴き出す。あれれ、どこからともなくにぎやかな三線の音色。食べ終えて店外に出ると、沖縄土産の店員さんが軽やかに奏でていた。

 

紅いもタルトと道産スイーツ 「同じハートだねえ」

 満腹にはまだ遠い。辛いものの次には甘いもの。次のコラボメニューは、沖縄を代表する土産物「紅いもタルト」の「御菓子御殿」へ。北海道のとうきびとクリームチーズ、沖縄の塩「ぬちまーす」を使った新商品「とうきびチーズタルト」をいただく。同社店舗では一度に100箱注文があったという人気なのだそう。

 立食のイートインでほお張る。チーズととうきび、道産子では思いもつかない組み合わせだ。香ばしく、隠し味の塩が甘みを引き立てる。クセになるおいしさだ。プロジェクトメンバーでもある澤岻(たくし)英樹社長が、南国のゆったりとした口調で言う。「紅いもという沖縄の素材でお菓子を作ってきた私たちと、道産素材にこだわる北海道のお菓子メーカー。きっと同じハートなんだねえ」

 

南北コラボ「めっちゃ刺激的」 大阪人の心をわしづかみ

 会場内になが~い行列を発見。元をたどると南北スイーツの実演販売だった。大阪市浪速区から訪れた西川真也(まや)さん(42)が食べていたのは「北海道愛す」のソフトクリーム。娘の友乃さん(12)は沖縄「ブルーシール」のチョコミントアイスを味わっていた。「北海道と沖縄、いっぺんに味わえるなんてめっちゃ刺激的じゃないですか」(真也さん)。南北の異色コラボフェスは、面白いもの好きで知られる大阪人の心をがっちりつかんだようだ。

 にぎやかな拍手に誘われて特設ステージへ。帯広や音更など農業王国・十勝のPRプログラム「世界にひとつだけ、ばんえい競馬」が開かれていた。大型ディスプレイに映し出されたのは、重いそりを引き力走する逞しいばん馬たち。士幌の牧場で酪農体験した阪神タイガースOB鳥谷敬さんと酪農家によるトークショー(MILKLAND HOKKAIDO提供)やミス沖縄による観光PRステージでは、満席の聴衆が2人の話に聞き入った。

 

お腹も心も満腹 それがどさんちゅ

 熱気むんむんの会場にいると、次第に喉も渇いてきた。厚岸ウイスキーのハイボール、上川大雪酒造の飲み比べ、昼酒が楽しめるスタンドバーコーナーはどこも盛況だ。ただ、ここは北海道と沖縄のコラボフェス。南北のクラフトビールをぜいたくに飲み比べすることにした。上富良野産ホップを使ったサッポロビールの「SORACHI1984」、沖縄産小麦とたんかんピールを用いたオリオンビールの「75Beer」を飲む。一口ずつ含んでは香りと苦み、のどごしを味わう。酔いが回る。

 北海道と沖縄を五感で楽しむフルコースの最後は、札幌発祥の〆パフェと行こう。よつ葉乳業の「沖縄県産シークヮーサーとマンゴーのブレンドパフェ」。道産乳のソフトクリームの濃厚な味わいに、沖縄フルーツの爽やかな酸味がよく合う。もう満腹!

 

北海道と沖縄 ともに育む「未知なる価値」

 フェスティバルを歩いて感じたのは、北海道や沖縄の魅力をいっぺんに体感できる楽しさはもちろん、地方と地方が手を繋ぎあい「未知なる価値」を生み出そうとする新たなイベントの形だった。4年目を迎えた「どさんこしまんちゅプロジェクト」から、未来に繋がる新たな芽が着実に育とうとしていると感じた。(文・写真 ヤマモトテツ)

 

【2】どさんちゅフェス限定  南北コラボメニュー

「よつ葉乳業」沖縄県産マンゴーとシークヮーサーのブレンドパフェ


「よつ葉乳業」「南島酒販」沖縄泡盛と黒糖を使った北海道しめパフェ


「ISHIYA」黒糖ミルクロールケーキ


「お菓子御殿」とうきびチーズタルト


「175゜DENO 担担麵」島唐辛子辣油の白ごま汁なし担担麺


「八軒苑」サロマ和牛モモステーキ&沖縄県産和牛イチボステーキ食べ比べ弁当


「パティスリーモンクレア」島の恵みキャラメリゼ・ティラミス(北海道産マスカルポーネ使用)


「じゃがいも HOUSE」あぐー豚と道産チーズのクリームコロッケ


「セルクル」紅芋クリームと白いカスタードのミニシュークリームセット

「MILKLAND-HOKKAIDO」北海道の牧場ソフトde食べるシェイク

【3】Photos